Technology
技術スペック
Slide-Ring Materials Slide-Ring Materials Slide-Ring Materials Slide-Ring Materials
世界で唯一の「SeRM」
素材の耐衝撃性・
耐傷/摩耗性・復元性などの
飛躍的な向上を実現します。
環状のシクロデキストリン(CD)を直鎖状のポリエチレングリコールが貫通する「ネックレス構造」をもつ「SeRM」。私たちは、その複雑な構造を持つ「SeRM」を量産できる世界で唯一の企業です。そして、その特殊な構造で適用素材の構造に入り込むことによって、既存の材料において今まで両立が困難だった機能性(硬さと衝撃吸収性・耐摩耗性の両立や柔軟性と復元性の両立など)を発現します。ここでは、「SeRM」の基本構造から効果を発揮できる背景まで技術的な観点から、「SeRM」について説明します。
Basic Performance
基本性能
世界唯一の素材、スライドリングマテリアルの基本性能をご紹介いたします。
基本構造
分子ネックレス
「SeRM」は、分子で作られたナノサイズの「ネックレス」が基本要素になっています。これは「ポリロタキサン」と呼ばれており、直鎖状高分子「ポリエチレングリコール(PEG)」と、 環状分子「シクロデキストリン(CD)」、ストッパー分子「アダマンタンアミン」の3つの材料から構成されています。ポリロタキサンは大阪大学大学院原田明研究室で1990年に初めて合成されました。ポリロタキサンのような分子の複合体は化学の分野で「超分子Supramolecule」と呼ばれています。
構造と機能
架橋点が自由に動く構造
東京大学伊藤耕三研究室では、分子ネックレス(ポリロタキサン)の環状分子(シクロデキストリン)の包接量をコントロールし、直鎖状高分子上を自由に動くことができるようにして、環状分子同士を架橋させました。その技術をもとに製品化したものが「SeRM」です。「SeRM」の構成分子であるシクロデキストリンには多数の水酸基が存在します。ここを架橋点として分子ネックレス同士、または分子ネックレスと他のポリマーと架橋させると、架橋点が自由に動く超分子ネットワークをつくることができます。これが「SeRM」の基本構造です。この際、架橋点は滑車のように作用し(滑車効果:Pulley Effect)、ポリマー間のテンションを均一にするという効果があります。 この効果によって「SeRM」は、ユニークな力学特性を発現し、今までにないまったく新しい機能を有する高分子材料を誕生させることができました。
スライディング効果
「SeRM」は架橋点が自由に動くにもかかわらず、優れた復元性を示します。これはスライディング効果によって説明されます。分子ネックレス上のシクロデキストリン(環状分子)のうち、架橋していないシクロデキストリンは、圧縮されて軸分子上でお互いの距離が接近すると、できるだけ距離を一定に保とうとする空気バネ的効果を発現します(減少した環状分子の配置エントロピーが元に戻ろうとする新しいエントロピー弾性=スライディング弾性)。この効果により「SeRM」は、弾性率(ゴム硬度)と圧縮永久歪みや応力緩和性がいずれも小さいという従来の樹脂にはない特性を実現します。
応用
化学修飾による物性のコントロール
シクロデキストリン(CD)には水酸基が存在しています。その水産基を活かして、CDを化学修飾することにより、「SeRM」は下記のような性能を分子レベルで自在にコントロールすることが可能です。このCDの化学修飾による「SeRM」のカスタマイズが当社の強みの一つです。お客様の使用用途や求める効果を伺わせて頂き、最も効果が発現しやすい、「SeRM」を共同で開発致します。